神戸大学の西、護国神社西側の坂道を登ったところにあるロイ・スミス館に、神戸大学六甲台後援会の事務所があることは、皆さんには余りよく知られていません。
ロイ・スミス館は、六甲台後援会が1960(昭和35)年にロイ・スミス(Roy Smith)先生のために、立派な庭のある2階建の住宅を購入したもので、同年「ロイ・スミス館」と命名されました。
先生が日本を離れられた1968(昭和43)年まで先生の住居として利用されました。
先生が帰国されてからロイ・スミス館は、神戸大学社会科学系部局の外国人研究者の宿舎として、更に、ゼミ・研究会の場として利用されています。また大学紛争時、学舎が封鎖された時には大学本部経理部と広報委員会の事務室となり、新聞記者の皆さんのクラブ室ともなりました。
ロイ・スミス先生は、1909(明治42)年に神戸高等商業学校に赴任して以来、1968(昭和43)年に神戸大学を退職し帰国されるまで、戦中・戦後の一時期を除き、半世紀を越える期間にわたり、神戸高等商業学校、神戸商業大学、同予科、神戸経済大学、そして神戸大学において学生の教育に献身的に携わられました。
1972(昭和47)年、スミス先生を記念して、この会館の玄関正面の壁に、40センチ×60センチのブロンズ板に、「THE ROY SMITH HOUSE IN MEMORY OF PROF. ROY SMITH 1878-1969」と刻まれた銘板が取り付けられました。
時間の経過につれてロイ・スミス館も次第に老朽化し、宿舎として利用して頂くにはいろいろ支障が出るようになってきました。六甲台後援会としては、その都度、部分的な修理を重ねてきましたが、近年相当大規模な改修工事を行い、外国人研究者用宿舎としての居住環境の改善を図りました。
2011(平成23)年10月28日に国の登録有形文化財(文化庁)として登録されました。 |